取組のきっかけ
当牧場では、堆肥から畑土を作り、飼料作物を栽培し、牛を飼っております。
酪農業界は農政や為替などの外部からの波風に翻弄されやすく、数年前就農後初めての生産調整を体験し、牧場の存在意義や私自信の酪農家としての存在価値について考えるようになりました。
一滴の牛乳が生産されるまでには、命が宿ってから約3年かかります。そんなミルクを廃棄する事はとても辛く、しかも廃棄の際は「産業廃棄物」扱いになり、下水にも流せません。両親が人生をかけて生産した牛乳が産業廃棄物扱いされることが、私にはとても衝撃的でした。
また、牛乳は一元集荷・多元販売なので、他の牧場のミルクと一緒にパック詰めされて販売されます。それはつまり、わが家の牧場のミルクがなくても他の牧場のミルクがパックに充填されるので誰も困らないという事実が、生産者として存在価値がないように思え、寂しさや危機感を感じておりました。
そうした中で、わが家のミルクを磨き上げて提案し、「選ばれる生産者」になることこそ当牧場の存在意義に繋がると考え、「必要とされる生産者」になることを目標に乳製品加工を開始しました。
その道を追求していく中で、九州バイオクラスター協議会(KBCC)による「フランス オメガ3プロジェクト」に出会い、渡仏。BLEU BLANC COEUR(BBC:有機農産物組合)や、BBC創始者の一人である酪農家ピエール・パスケさんのを訪れ、そこで「土から食物を育てている農家は食物連鎖の中心にいる。だからこそ、子供達や消費者、農畜産物、地球環境に対して責任を持たないといけない」というピエールさんの酪農家=生産者としての使命感や想いに共感し、当牧場でもBBCの技術を活かした酪農を開始しました。
取組状況
総飼料中の油脂バランスを考慮しながらリノマックスを給与しています。
取り組んで良かったこと
BBCの技術を使用する事で、牛を更に健康に飼うことができ、乳量も増え、搾りたてのミルクから天然のオメガ3脂肪酸が多く検出されるようになりました。
これからの抱負
世の中には沢山の大手メーカーや酪農家が乳製品を販売しています。その状況の中で私は世界中のヨーグルトを食べ歩き、当牧場の生乳の特徴を目で見てもわかるように、『ミルクの違いを表現する』為に、ヨーグルトの製造を開始しました。 『次の世代を育むため、わが家のミルクにできること。』を理念として掲げ、今後、ヨーグルトが「おやつ」や「おかず」になれるような舞台を作り、更にミルクを金色に磨き上げて、必要とされる生産者を目指しています。